
長嶋茂雄さんが生きている間にちゃんと聞いておくんだった。
6月3日の他界から半年余り、今も後悔することがある。
何しろ、1958年の巨人入団の経緯からして謎が多い。
ドラフト制度がなかった当時、南海(現ソフトバンク)は立教大の長嶋さんに「栄養費」月2万円を渡していた。
大卒初任給が8000円の時代にである。
実際に現金を渡していた南海の選手、立大の先輩・大沢啓二氏が明かした話だ。
それにもかかわらず、長嶋さんが巨人を選んだため、「読売は南海以上に金を積んだのでは」と後々まで噂された。
ところが、長嶋さんは87年、作家・井上ひさし氏との対談でこう話している。
「金だけのことだったら、中日に行きましたね」
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