
ヤクザ映画『孤狼の血』(2018)などで知られる監督、白石和彌が初めて手がけた時代劇。
脚本は自身も囲碁ファンの加藤正人で、非常によくできた話だなと思ったら、古典落語『柳田格之進』が原作なのだそうである。
柳田(草薙剛)は進物担当を務めていた彦根藩を追われ、一人娘のお絹(清原果耶)とともに長屋で印鑑を掘って糊口をしのでいる身。
その店賃の支払いもままならない中、せっかく吉原の女将・お庚(小泉今日子)にもらった印鑑の代金一両を、碁会所で萬屋源兵衛(國村隼)に賭け碁を挑み、自ら負けて失ってしまう。
その後、源兵衛の訪問を受けた柳田は、勝つためなら手段を選ばない碁ではなく、正々堂々と打つのが自分の碁だと力説。
その潔癖な人格に心酔した源兵衛が柳田に碁を学ぶようになった後、かつて柳田が藩を追われた理由が冤罪にあったことが明らかになってくる。
その一方で、柳田が萬屋から五十両を盗んだのではないかという嫌疑も浮上。
四面楚歌の窮地に追い込まれた柳田は、自分を陥れた仇敵、柴田兵庫(斎藤工)を追って旅に出る。
珍しく時代劇の主役に扮した草彅はなかなかの熱演で、どこかでチラリとのぞかないかと思われた現代的なひ弱さや違和感を微塵も感じさせない。
白石の演出も静謐な力強さに溢れており、『孤狼の血』のような血糊ドバドバのゴア描写が少なかったのもよかった。
オススメ度A。
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