
いま改めて、長嶋茂雄監督が松井秀喜氏に課していた素振りがクローズアップされている。
遠征先のホテル、田園調布の自宅、さらに移動日にはチームとは別のホテルの広間を借りて、延々と素振りを繰り返させた。
長嶋さんが最も重要視していたのは音だ。
部屋を真っ暗にして、松井氏のバットが空を切る音に耳を澄ませる。
「ブーン」と低く鈍い音は「ダメ」。
「ピュッ」と高く鋭い音がしたら、「よし、それだ!」と合格点を出す。
そういう時は「自分でも確かに振り抜けた感覚があるんです」と松井氏は語っていた。
「ブーンという音とは鳴るところも違う」のだそうだ。
では、長嶋さん自身は現役時代、どんな素振りをしていたのだろう。
私は土井正三氏や新浦壽夫氏に、遠征先で相部屋になった時のエピソードを取材したことがある。
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