サイバー攻撃で父親の情報が漏洩していた件🖥

突然届いた通知書

今でもたまに、3年前に亡くなった父親宛の手紙が広島県竹原市の実家に届き、それが東京の僕の自宅へ転送されてくる。
大抵は父が勤めていた電力会社関係の冊子で、すでに死亡届は提出しているはずなのだが、一向に止まる気配がない。

先日は損保ジャパンから父宛の封書が配達されて、「重要なご案内ですので必ずお読みください」という文言が封筒の表に印刷されている。
何かと思って封を切ったら、サイバー攻撃によって父親の情報が漏洩した恐れがあることというお知らせと、そのことに対するお詫びだった。

漏洩したのは、高齢ドライバーだった父が晩年に起こした物損事故に関する情報である。
「決済情報(クレジットカード番号や口座情報)は含まれておりません」という但し書きを見てホッとしたが、よく考えたら、父が亡くなった時に僕がすべて解約していた。

念のために問い合わせ窓口のフリーダイヤルに電話して確認すると、損保では保険期間が終了している契約や解約済みの契約もデータとして保存しているため、僕の父親宛にもこういう書面が届けられたのだという。
そんな話を聞きながら、いつも車の助手席で眺めていた父の運転する姿を思い出した。

父は僕が帰省するたび、空港や最寄のバス停に車で迎えに来てくれた。
そんな優しい一面もあった父に、もっと親孝行すればよかったなと、今になってふたたびそんな思いがよぎった。

スポーツライター。 1986年、日刊現代に入社。88年から運動部記者を務める。2002年に単行本デビュー作『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(講談社)を上梓。06年に独立。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。東スポ毎週火曜『赤ペン!!』連載中。 東京運動記者クラブ会員。日本文藝家協会会員。
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