
全6エピソード 342分 アメリカ=Netflix
アメリカ最大のプロレス団体にして、社会的にも様々な影響力を誇ったエンターテインメント会社WWEの元オーナー、ビンス・マクマホンの一代記。
僕がプロレスファンだった10代の頃は、2代目オーナービンス・シニアからWWFを受け継いだドラ息子という印象しかなかったのだが、そういう思い込みを覆して余りある人物だった。
そもそもビンスの家庭環境は非常に複雑で、離婚した母親の元で育てられており、父親とは決して親しい間柄ではなかったという。
WWFの3代目オーナーの座も円満に譲り渡されたわけではなく、父親のブレーンだったゴリラ・モンスーンとの争奪戦を制して手に入れている。
団体の長となってまず断行したのが、WWFヘビー級チャンピオンの座をボブ・バックランドから奪い、アイアン・シークを経由して、ハルク・ホーガンにベルトを巻かせること。
このホーガンをはじめ、マクマホンはレスラーのキャラクター化とストーリーの設定に様々なアイデアを考案し、WWFをより大規模なエンターテインメント集団へ成長させていく。
一時は大富豪テッド・ターナー率いるライバル団体WCWにスターを次々に引き抜かれ、あわや倒産の危機に瀕すると、さらに過激なキャラクターと際どいストーリーを考え出し、ストリップや泥んこプロレスのようなえげつないショーも断行。
しまいには自分の妻、息子、娘までキャラクター化してリングに引っ張り上げ、娘が所属レスラーのトリプルHと結婚し、ビンスに反抗を企てるというストーリーまで演じさせている。
この路線をエスカレートさせ、ついにはWWE最大のイベント「レッスルマニア」で自らリングに立ち、まだ大統領になる前のドナルド・トランプと髪切りマッチで対決。
自分の書いたシナリオ通り、トランプに負けて丸坊主にされると、悔し涙をこぼしながら声を荒らげ、どのレスラーよりも強烈なキャラクターを演じている。
その半面、ビンスが女性レフェリーにオーラルセックスを強要されたと告発されたり、ブッカー兼レスラーで団体ナンバー2だったパット・パターソンが男性職員に性加害を働いたり、現代だったら社会問題化しそうなスキャンダルも何度となく巻き起こしてきた。
そういうデタラメさ、インチキさ、いかがわしさもすべてひっくるめて、WWEはアメリカ文化に多大な影響を与え、紛れもなく一時代を築いた団体であり、と言えなくもないが(と、ビンス本人も思っているだろう)。
オススメ度A。
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