『悪は存在しない』(WOWOW)😉

106分 2023年 Incline

『ドライブ・マイ・カー』(2021)で知られる濱口竜介監督が、長野県の小さな集落を舞台に、観光開発事業をめぐって巻き起こる人間ドラマを描いた作品。
非常によくできているのだが、ラストシーンには思わず首をひねりたくなる違和感が残った。

ストーリーの軸は町外れに一人娘と暮らす男・巧(大美賀均)と、ここにグランピング場(キャンプ場とホテルを併設したリゾート施設)を誘致しようとする企業の下請け会社で働く高橋(小坂竜士)との葛藤と相克。
高橋たちが住民説明会を開くと、地元住民たちから浄化槽の位置を疑問視する声が上がり、水質汚染の可能性があることから紛糾する。

住民たちと会社の板挟みになった高橋は、何度も巧の下に足を運んで理解を求めるが、ぶっきらぼうな巧はなかなかまともに相手にしてくれない。
このくだりで、巧が薪割りをしている最中、高橋が自分にもやらせてほしいと言い出し、最初はうまくいかなかったところで、巧が一言コツを教えるときれいに割れる、というシーンが印象的だ。

濱口監督はそうした丁寧な描写の積み重ねで心の触れ合いを描き、観る者を作品世界へ誘っていく。
と、ここまではリアリズムに徹しているのだが、エンディングにきてガラリとタッチが変わってしまう。

この幕引きを肯定的に捉える批評も多いけれど、僕自身は今ひとつ納得できませんでした。
あくまで個人的感想ですが。

オススメ度B

A=ぜひ!🤗😱 B=よかったら😉 C=気になったら🤨  D=ヒマだったら😑

スポーツライター。 1986年、日刊現代に入社。88年から運動部記者を務める。2002年に単行本デビュー作『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(講談社)を上梓。06年に独立。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。東スポ毎週火曜『赤ペン!!』連載中。 東京運動記者クラブ会員。日本文藝家協会会員。
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