今年最後のゲーム取材で考えたこと⚾️

CSファイナルステージでは3試合連続大入袋が出た 年間入場者数300万人を突破した第1戦の中身は500円 2、3戦は通常通り100円

番長最後の戦いは甲子園の夜空に砕け散った。
そのレガシーは来季、相川新監督に受け継がれる。

DeNAが0勝3敗と後がない崖っ縁で臨んだ17日の「2025 JERA クライマックスシリーズ セ」ファイナルシリーズ第3戦(甲子園)は0−4で阪神に完敗。
今年限りで退任する三浦監督は、これで在任5年間の全ての戦いの幕を閉じた。

三浦監督は試合後、甲子園の左翼スタンド2ブロックに陣取った応援団にお礼と別れの挨拶。
阪神・藤川監督から花束を贈られ、グラウンドから去った。

ロッカーでは選手、スタッフ1人1人に一言ずつ言葉をかけ、別れの握手を交わしたという。
取材対応のため、報道陣の前に現れた時、三浦監督の目は赤く潤んでいた。

「悔しさはあります。阪神は強かった」と言いながら、「今は終わったなと、監督業が今日で終わるんだなと感じています」とホッとした表情も見せた。
今回の辞任は優勝を逃してから程なく、自ら決意を固めて南場智子オーナーに伝えたという。

「相談ではなく決断を伝えさせていただいた。
優勝できなかったのは監督の責任だから、ケジメをつけないといけない」

南場オーナーもあえて慰留の言葉はかけなかったそうだ。
ただし、この最後の3連戦、内容的にはいずれも完敗で、三浦監督の口グセである「全員で全力を尽くした」割には寂しい内容だった印象も否めない。

最終戦は先発ケイが初回に佐藤輝に先制3ランを被弾。
3回も大山に左越え適時打を浴びて4点目を献上し、主導権を握られ、そこから一度も反撃できなかった。

ファーストステージで爆発した打線も阪神・高橋に8回1死までノーヒット。
8回に3連打で1死満塁のチャンスを作ったが、戸柱、蝦名がともに空振り三振に仕留められ、万事休す。

シーズンのある時期、ケースによっては打線全体で狙い球を絞り、それが来るまで待球作戦を取ってはどうか、と、私から三浦監督に聞いたことがある。
その質問に対する番長の答えは「ウチに待てのサインはありませんから」だった。

そういう〝無手勝流〟の打ち勝つ野球で、昨年は下克上と26年ぶり日本一を達成した。
が、27年ぶりリーグ優勝を果たせなかった今季は、これまでのような選手任せの野球の限界を示したとも言える。

そうした反省を踏まえて、来季はどのような新体制が敷かれるのか。
南場オーナーは「我々なりに積み上げたものがあるので、それをゼロベースで壊すのではなく、その上にその土台をさらに発展させられるような体制で臨みたい」と語っている。

その使命を託された相川新監督の下で、ベイスターズの野球は変わるのか、変わらないのか。
阪神を倒してシーズンを制するチームに進化するには、ここでもう一つ上の段階への脱皮が必要だろう。

スポーツライター。 1986年、日刊現代に入社。88年から運動部記者を務める。2002年に単行本デビュー作『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(講談社)を上梓。06年に独立。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。東スポ毎週火曜『赤ペン!!』連載中。 東京運動記者クラブ会員。日本文藝家協会会員。
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