
発行:2025年8月20日
広島県竹原市の実家の前を流れる賀茂川の土手には数十本の桜並木がある。
毎年、赤坂家を含む川沿いの住民たちにとって、春は庭先で花見が楽しめる格好の季節だ。
ところが、何年か前から、この桜を見に外国人観光客の家族連れや友達同士のグループがやってきて、スマホで写真を撮り、SNSに投稿するようになった。
次から次へとひっきりなしに訪れる外国人たちの中には、ニコニコしながら手を振ったり、「オハヨウゴザイマス」とあいさつを寄越す者もいる。
そうした光景が当たり前になってきた最近、勝手に住宅の敷地内に入ってくる外国人も増えてきた、と人伝に聞いた。
悪気はないのかもしれないが、曰く言い難い違和感、もっと言えば薄気味悪さや警戒感を感じる日本人は僕だけではないだろう。
これが観光客ではなく、出稼ぎにきた外国人の集団で、特定の地域に不法に居座り、自分たちのコミュニティーを拡大していったらどうなるか。
そんなゾッとしない現実を詳細にルポしているのが本書である。
埼玉県川口市には現在、解体業に従事する多数のクルド人が居住している。
正当な入管手続きを経て就労しているクルド人もいるが、難民申請をして日本に潜り込み、法の抜け穴を突いて居座り続け、税金も納めず日本のインフラを利用し、カネを稼いでいる違法入国者、不法就労者も多い。
しかも、彼らは正規の手続きをしていないため、どこに住んでいるのかも川口市は把握できていない。
事実上、野放し状態のまま、日本人住居の近くにヤード(解体施設)を作ったり、過積載のトラックを猛スピードで運転したり、クルド人同士で夜遅くまで酒を飲んで騒いだり、さらにはクルド人同士で刃傷沙汰をを起こしたり、クルド人の青少年が日本人女性に性的暴行を働いたりしている。
著者はクルド人問題の専門家ではない。
新潮社の編集者に「川口市に住んでクルド人問題を取材してみませんか」と依頼され、最初は手探りでクルド人の溜まり場のケバブ店やシーシャバーを訪ね歩き、川口市にはびこる諸問題の実相に迫ってゆく。
著者がクルド人をよく知らないまま、クルド人にアプローチしようとしては拒絶される描写が何とも生々しい。
それだけに、実にリアルにこの問題の根深さ、地方自治体と国との間の乖離、さらには日本人とクルド人との間の断層を伝えてくる。
いい本だなあ、俺もこういうルポをやってみたいなあ、でもトシだからもう無理か、と思って著者のプロフィールを見たら僕と同い年だった。
しかも、新潮社の担当編集者は、僕も若いころ随分お世話になった方で、いまもお元気でこういう本を編まれていることに敬意を表したい。
😁😳🤔🤓
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