竹原の県立高校2校が1校になる日🏫

広島県立竹原高校

広島県立竹原高校はわが家から自転車で2~3分のところにある。
夕方になると野球部の練習が始まり、部員たちの元気のいい声や打球音が聞こえて、わが古里の球児たちも頑張っているなあ、と年寄りらしい感慨に耽ったりする。

先月20日、その竹原高校が近い将来、同じ県立の忠海(ただのうみ)高校と合併することになるだろう、というニュースが報じられた。
この事案は9月20日、朝日新聞でも伝えられたので、以下に引用する。

「定員割れが続く広島県竹原市の竹原高校と忠海高校の二つの県立高校について、市の設置した有識者委員会が19日、現在ある2校を廃止して高校1校を新設することが望ましいとする報告書を今栄敏彦市長に提出した。
市は、報告書を元に県教育委員会への要望書案を作り、市総合教育会議で協議したうえで、11月に県教委へ提出する予定。

報告書では(中略)一定規模の学級や学年の規模を確保することが必要とし、高校を1校へまとめることが望ましいと結論づけた。
新設の高校は既存の2校の校舎を活用するとしたが、どちらの場所に置くかは結論を出さなかった。

市によると、2校は定員割れが続き、24年春の入学定員に対する充足率は竹原高が48.8%、忠海高は70%だった。
市内の中学校・義務教育学校を卒業した生徒のうち2校に進学する生徒も2割台にとどまっている」

これは要するに、近年の少子化と地方の過疎化による教育機関の統廃合である。
が、市政や教育関係者にとってはまことにセンシティブな問題で、「統廃合」という言葉を使うこと自体、憚られているという。

竹原高校は2019年、高校野球の名将・迫田穆成さんが野球部の監督に就任し、22年に35年ぶりに県大会のベスト16に進出。
迫田さんの元で野球をしたいと望む球児たちが集い、竹原の町にも活気をもたらしたばかり。

忠海高校は1867年に創設された旧制中学を前身とする伝統校。
名宰相・池田勇人、日本ウイスキーの父と呼ばれる竹鶴政孝など、歴史的著名人を輩出したことでも知られる。

そういう竹原に根差し、竹原の文化の担い手でもあった二つの高校が一つになる。
わが古里の少子化と過疎化もここまできたか、という寂しさを禁じ得ない。

これからどのような新たな高校ができるのか、両校の歴史と伝統はどのように受け継がれていくのか。
まずは県教委の出す結論に注目したい。

スポーツライター。 1986年、日刊現代に入社。88年から運動部記者を務める。2002年に単行本デビュー作『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(講談社)を上梓。06年に独立。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。東スポ毎週火曜『赤ペン!!』連載中。 東京運動記者クラブ会員。日本文藝家協会会員。
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