
ベースボール・マガジン社 翻訳:宮川毅 定価1200円(古書価格1650円:ビブリオ)
第1版第1刷:1973年3月30日 原書発行:1969年
1941年、大リーグのレッドソックスで打率4割6厘をマークし、84年後の今なお「最後の4割打者」として名を残しているテッド・ウィリアムズの自伝。
非常に研究熱心な選手として知られていることから、さぞかし緻密な打撃論、野球論が語られている本かと思ったら、意外にも感情の赴くままに野球人生の苦労やトラブルを振り返ったくだりが多い。
最も文字数を費やしているのがマスコミ批判で、当時ウィリアムズについて「デタラメ」を書いていたという新聞記者やスポーツライターの個人名とメディア名を挙げ、当該記事の見出しまで列挙して痛烈に罵っている。
しかし、ウィリアムズのほうも、気に入らないことを書かれるたびに記者席にツバを吐き、そういう行為を40歳過ぎの現役晩年まで続けたというのだから、あまり褒められたものではない。
その上、そうしたバッシング記事に感化された客に野次を浴びせられると、本拠地フェンウェイパークであっても、その客めがけてファウルを打ち込んでいた。
それらがすべて事実なら、現代では間違いなく出場停止のペナルティーを科されているだろう。
一方で、ウィリアムズ自身が不本意だったと語っている第2次世界大戦、朝鮮戦争と2度にわたる従軍経験はなかなか迫力に満ちている。
徴兵制度に対する批判も的を射ており、こと野球に関しては理論家だけあってか、何を語っても一定の説得力を感じさせる。
さらに終盤、様々な野球の改革を提唱している最終章が興味深い。
アメリカ本国で本書を上梓した1969年の時点で、「打撃専属打順」、つまり現代のDH制度をア・リーグは導入するべきだ、と主張しているくだりは必読。
ウィリアムスはまた、季節によって9回制を7回制に短縮したり、フォアボールをスリーボールにしたりする改正案を披露。
試合時間の短縮が叫ばれている21世紀の今日においても、大変示唆に富んだ提言となっている。
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