『江戸川乱歩の美女シリーズ24 妖しい傷あとの美女 陰獣』(BS松竹東急)😉

約109分 初放送:1985年3月9日PM9:02〜 製作:テレビ朝日、松竹
BS松竹東急 再放送:2025年6月29日PM3:00〜

これはもう、本シリーズの悪趣味を極めたような出来栄えの1本である。
巻頭、推理作家の中尾彬が登場し、自分の書くミステリー小説通りに美女を殺していく、と予告。

その手始めに、大金持ちの実業家・根上淳の愛娘がアクアティックバレー(現在のアーティスティックスイミング)の演技の最中に殺され、プールの底に沈んでしまう。
というオープニングのツカミはバッチリで、大いに期待させる。

荒井注警部はこの事件を単なる事故死と片づけた一方で、根上の妻・佳那晃子が天知小五郎に接近し、真相の解明を依頼する。
本シリーズのキャスティングの常道からして、佳那が何らかの秘密を隠していることはバレバレ。

実は、根上にはSM趣味があり、後妻の佳那は性の慰み者として囲われていることがわかってくる。
佳那が天知を招き入れた部屋には鎖にロープ、木馬に磔台など、様々な道具が並べられていて、よくもまあ、こんなに露骨なセットを地上波で放送できたものだと呆れるやら、感心させられるやら。

もっとも、さすがに佳那がヌードになって鞭打たれるシーンはなく、そちらは根上の秘書・親王塚貴子の役目。
親王塚は武智鉄二の本番映画『華魁』(1983年)に主演して有名になった女優で、こういうテレビドラマにも出演しているとは知らなかった。

クライマックスは本シリーズ随一と言ってもいいほどの強引さ、という以上のデタラメさ。
中尾が運転していると見せかけた車が佳那にリモコンで操られていたりとか、何の説明もなく死んだはずの天知小五郎が生き返ったりとか、いちいち指摘するのがバカバカしくなるほど。

文字通り、荒唐無稽を絵に描いたような、いや、動画にしたような一本。
でも、まあ、よしとするか、そういうシリーズだったんだから。

オススメ度B。

A=ぜひ!🤗😱 B=よかったら😉 C=気になったら🤨  D=ヒマだったら😑

スポーツライター。 1986年、日刊現代に入社。88年から運動部記者を務める。2002年に単行本デビュー作『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(講談社)を上梓。06年に独立。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。東スポ毎週火曜『赤ペン!!』連載中。 東京運動記者クラブ会員。日本文藝家協会会員。
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