『潜水艇タイタン オーシャンゲート社が犠牲にしたもの』(Netflix)🤗😱

Titan: The OceanGate Disaster
112分 アメリカ=Netflix 配信開始:2025年6月11日

2023年6月19日、沈没船タイタニックの観覧ツアーを行った潜水艇タイタンの遭難事故は世界的に大きな反響を呼んだ。
海難事故史上、最も無謀で奇妙なケースとも言われるこの〝タイタンの悲劇〟を描いたドキュメンタリー。

まず驚かされたのは、タイタンの船体(耐圧殻)が炭素繊維(カーボンファイバー)で作られていたということ。
本作では、タイタンのテスト潜航で、深度が増すにつれて炭素繊維の切れるノイズがどんどん大きくなっていく電子グラフが、実際の亀裂音とともに紹介される。

この無機質なシーンが、無機質ゆえに結構怖くて、デジタル時代の緊迫感と恐怖感を表現する新たな手法のようにも感じられた。
そうした沈没を予測させる明らかな兆候があったにもかかわらず、タイタンを建造したオーシャンゲート社のCEOストックトン・ラッシュは、反対する社員や技術者を次々に解雇し、タイタニックの観覧ツアーを強行したのだった。

本作のアンコは、資産家の家に生まれ、大学でも優秀な成績を収めていたというラッシュの変人ぶりにして独裁者ぶり。
タイタンの悲劇はラッシュによる人災だったということがよくわかる。

ちなみに、この見学ツアーは潜水時間だけで約8時間、料金は1人約25万㌦(約3600万円)。
僕だったら、どんなに安全だと言われても、あんなに狭苦しいカプセルに閉じ込められて約4000メートルの深海に潜るなんて、恐ろしくて息が詰まりそうで、1億円積まれても嫌ですけどね。

オススメ度A。

A=ぜひ!🤗😱 B=よかったら😉 C=気になったら🤨  D=ヒマだったら😑

スポーツライター。 1986年、日刊現代に入社。88年から運動部記者を務める。2002年に単行本デビュー作『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(講談社)を上梓。06年に独立。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。東スポ毎週火曜『赤ペン!!』連載中。 東京運動記者クラブ会員。日本文藝家協会会員。
先頭に戻る