父親が立てた電信柱

きょうはいい天気だったなぁ

竹原のわが家の庭の片隅には、父親が立てた巨大なアンテナがある。
いや、親父が自分で立てたわけではなく、もちろん業者に依頼して立ててもらったものなんですが。

父親は若いころ、アマチュア無線を趣味にしていて、よく2階の書斎にこもって海外のハム(HAM=アマチュア無線家)と交信し、QSLカードをやりとりしていた。
その後、インターネットの普及に伴ってそちらに興味が移り、このアンテナも文字通り「無用の長物」となってしまった。

竹原を舞台とした名作アニメ『たまゆら~hitotose~』(2011年)では、最終話のワンシーンが賀茂川の土手に設定され、主要キャラの背景にわが家があり、このアンテナもしっかり描き込まれている。
その場面だけスクショして母親に見せたら、「お父さんが立てた電信柱まで描いてあるわ」と感心していた。

その際、「あの電信柱どうする? 引っこ抜く?」と母親に聞かれたが、別に立ったままでも困ることはないので、ほったらかしにしている。
が、もしそう遠くない将来、実家じまいをするとしたら、アンテナをどう処分するか、本気で考えなければならないかもしれない。

となると、工事費はいくらかかるんだろう?
やっぱり、当分は立ったままにしておくか。

スポーツライター。 1986年、日刊現代に入社。88年から運動部記者を務める。2002年に単行本デビュー作『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(講談社)を上梓。06年に独立。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。東スポ毎週火曜『赤ペン!!』連載中。 東京運動記者クラブ会員。日本文藝家協会会員。
先頭に戻る