105分 2022年 アメリカ＝A24 日本配給：ハピネットファントム・スタジオ R15+
最近、「新感覚ホラー」と銘打たれた新作は数多いが、押し並べて努力のほどは伝わってきても、結局のところはそんなに怖くはなかった、という映画が少なくありません。
とくに、1970〜80年代のカルトホラーのオマージュとして製作された作品ほど、そういう傾向が顕著なように思う。
で、この『X エックス』は、舞台が1979年のテキサス州の片田舎。
ハードコア・ポルノ映画の撮影をするため、3組6人のカップルが老夫婦の住む農家の離れを借り、ファックシーンの撮影をしていたところ、実は「史上最高齢の殺人夫婦」だったジーサン、バーサンに次々に殺されていく。
というクラシカルな設定からして、ヒッチコックの『サイコ』（1960年）、トビー・フーパーの『悪魔のいけにえ』（1974年）、『悪魔の沼』（1977年）などを容易に想起させる。
もっと言えば、ワニに若い女を食わせる場面は『吸血の群れ』（1972年）のオマージュでしょうね。
そういう昔のホラー映画を結構観ているA先生としては、正直言って、この作品はあんまり怖くない。
どころか、「殺人夫婦」の手口も、殺される若者たちの順番も、途中から読めてしまうケースがほとんど。
しかし、そうした同工異曲の最近のホラー映画に比べて、本作には「その手があったか！」と感心させるだけのオリジナリティ溢れるアイデアがある。
それは、殺される側と殺す側のキャラクターを同じひとりの俳優が演じていること、という以上のことはネタバレになるので、ここには書けません。
僕はエンドクレジットで初めて気がついたんですが、このアイデアには唸りましたね。
本作は3部作の第1作で、すでに製作済みの第2作では殺された側の過去、第3作では殺した側の未来が描かれているという。
そうくるなら次回作は是非とも観たい！ と思わせられたのは確か。
ただ、じゃあ、この第1作を是非にとお勧めできるかどうかとなると、それも難しいんですが。
というわけで、オススメ度はBマイナス。
A＝ぜひ！🤗 B＝よかったら😉 C＝気になったら🤨 D＝ヒマだったら😑
