都市対抗、西田真二監督率いるセガサミーが執念の采配で初戦突破!⚾️

ホンダの4番・佐藤竜彦はTDK先発・鈴木大貴に4打数無安打3三振(画像は五回第2打席)

一昨日から東京ドームで開催中の第93回都市対抗野球大会、きょうの取材の目当てはプロ野球とゆかりの深い選手と監督である。
どちらも昨年の大会に出場していたから、今年はどこがどれだけ変わったか、それともあまり変わっていないか、じっくり観察するつもりで取材に出かけた。

まず、第2試合のTDK戦に登場したHondaの4番・佐藤竜彦(28)。
彼の父親・真一さんはかつてたくぎんで勇名を馳せた社会人のスラッガーで、プロではダイエー(現ソフトバンク)、ヤクルトでプレーし、引退後はオリックスの編成担当などを経て、現在はヤクルトで外野守備走塁コーチを務めている。

息子の竜彦もまた、父親と同じ右打ちの長距離打者。
きょうJSPORTSで解説していた若林重喜・元ENEOS監督によると、「体格(182㎝、80㎏)も構えも打ち方もお父さんそっくりですね」。

その佐藤、昨年の大会では二塁打を1本打って存在感を示したが、今年はTDKの先発・エース鈴木大貴(24)に4打数無安打3三振と完璧に抑え込まれた。
第1打席は真っ直ぐでインコースを突かれて空振り三振、第2打席は同じく真っ直ぐに見逃し三振、第3打席は真っ直ぐを打ちにいって空振りし、フルカウントにされてから外角へのカットボールに見逃し三振。

第4打席は九回、1-2と1点差に追い上げた直後の無死一塁というチャンスだったが、あえなく一塁ゴロに打ち取られてチームも初戦敗退。
毎年、ドラフト候補と言われながらも指名されていない佐藤、今年28歳という年齢からも、このままでは父親と同じようにプロへ進むのは難しいかもしれません。

試合前に挨拶したセガサミー・西田真二監督はブラブラと外野へ

第3試合でHonda鈴鹿と対戦したセガサミーの監督は、僕が昔からお世話になっている元広島カープの西田真二さん。
セガサミーのスタメン2番ライト・犬飼康太郎(23)はJPアセット証券野球部からの補強選手で、こちらの監督もまた、一時よくお話を伺っていた元広島の野林大樹さん、という縁もある。

試合は二回、Honda鈴鹿にタイムリーエラーで先制を許したものの、直後のその裏にセガサミーが2点を挙げてすぐさま逆転し、三回にも1点を追加して3-1。
しかし、Honda鈴鹿も五回に1点を取り、3−2と1点差に詰め寄る。

中盤の勝負どころは次の六回、セガサミーの先発・エース草海光貴(24)が2死三塁と一打同点のピンチを迎えた場面。
ここで西田監督が自らマウンドへ足を運び、草海と捕手・須田凌平(30)に何やら語りかけると、次打者に11球も粘られながら、最後は空振り三振に打ち取った。

西田監督は七回途中で3人目の投手・舘和弥(23)を注ぎ込む継投の際にも、やはり自らマウンドでボールを手渡す念の入れよう。
さらに、3-2と1点リードのまま迎えた九回2死一塁、あとアウト1つまで来た場面では、またもマウンドでバッテリーに一声かけている。

西田監督は九回2死一塁でふたたびマウンドへ

昨年の大会では、西田監督が采配を振るのはもっぱら攻撃のほうだったから、投手起用でこれほど積極的に動いてくるとは、正直、かなり意外だった。
ここでセガサミーの予選での戦いを振り返ると、東京の第1代表に王手をかけながら、そこから3連敗を喫し、最後の第4代表決定戦でやっと勝って、この都市対抗に滑り込みで駒を進めている。

だからこそ、慎重の上にも慎重を期し、大量点を狙うより、少ないリードを最後まで守り切ろうという采配に徹したのかもしれない。
とまあ、このあたりの疑問点、それに草海や舘にマウンドでどんな言葉をかけたのか、西田監督には試合後の会見でしっかり伺ってきました。

西田監督と対面でお話するのは久しぶりだったけれど、僕の古巣の夕刊紙、僕が大学の後輩であることを覚えて頂いていたのはとてもうれしかった。
一昨年、昨年は惜しくも準決勝で敗退となったこの都市対抗、監督就任3年目の今年こそは悲願の初優勝を果たしてほしいものです。

スポーツライター。 1986年、日刊現代に入社。88年から運動部記者を務める。2002年に単行本デビュー作『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(講談社)を上梓。06年に独立。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。東スポ毎週火曜『赤ペン!!』連載中。 東京運動記者クラブ会員。日本文藝家協会会員。
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