『そして誰もいなくなった』(WOWOW)🤗

And Then There Were None
全3話180分(各話60分) 2015年 イギリス=BBC

アガサ・クリスティーが1939年に発表した古典的名作を、76年後の2015年、イギリスの国営放送BBCがクリスティーの生誕125年を記念してテレビドラマ化した作品。
僕は10代のころに原作を読んでいて、ルネ・クレール監督による1945年の映画化版をはじめ、これまでに何度も映像化されているので、ストーリーと犯人はすでに頭に刷り込まれている。

恐らく、本作を観るクリスティーファンのほとんどもネタを知っているだろうから、全3話180分のテレビドラマに移し替えたこの映像化は、かなりハードルの高い試みだったと言っていい。
これまでの映画化作品は、最後に全員いなくる10人が殺人の舞台となる島の洋館に集まるところから始まるパターンがほとんどだったが、本作はその前段階、オーウェン夫妻に招かれた客ひとりひとりの人物描写から始まる。

本筋に入ってからも、彼・彼女らが過去に犯した罪の回想シーンが何度も挿入されており、こういう手法の多用は下手をしたら絶海の孤島というシチュエーションの緊迫感を薄れさせ、ドラマ全体が散漫になりかねない。
が、サラ・フェルプスによる脚本の構成は非常に巧みで、監督クレイグ・ビベイロスの演出も切れ味鋭く、ほとんどダレさせることなくサスペンスフルな見せ場をつないでいく。

殺される客がついにふたりだけになり、互いに殺し合うことになるクライマックスは、原作のオチを大胆に改変した1974年のピーター・コリンソン監督版を彷彿とさせる。
さてはこのドラマ版もアノ手を使うのか、と思ったら、もっと気が利いていて、ショッキングで、クリスティーファンも納得のいくだろうエンディングになっていた。

俳優はみんな好演・熱演で、とりわけ実質的ヒロイン、ヴェラ・クレイソーン役のメイヴ・ダーモニー、ローレンス・ウォーグレイブ判事役のチャールズ・ダンスが印象に残る。
最初は1日に1話ずつ観ればいいか、と思っていたけれど、犯人とネタがわかっていても滅法面白いので、全180分を一気に観てしまいました。

オススメ度A。

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※再見、及び旧サイトからの再録

2『食われる家族』(2020年/韓)C
1『藁にもすがる獣たち』(2020年/韓)B

スポーツライター。 1986年、日刊現代に入社。88年から運動部記者を務める。2002年に単行本デビュー作『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(講談社)を上梓。06年に独立。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。東スポ毎週火曜『赤ペン!!』連載中。 東京運動記者クラブ会員。日本文藝家協会会員。
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