日本シリーズ第3、4戦のテレビ視聴率が意味するもの⚾️📺

日本シリーズ第4戦の結果を伝える今朝の日刊スポーツ(左)、スポーツ報知(右)

きのう、きょうと、また某大手民放キー局の先輩に日本シリーズ・ソフトバンク−巨人、第3、第4戦のテレビ視聴率(ビデオリサーチ調べ)を教えていただきました。
第1、2戦ともに一方的な展開だったことから、関東地区では伸び悩むだろうと見られていた数字は案の定、以下の通り。

第3戦・24日(火):テレビ朝日
平均 9.5%
最高 12.5%(21:12)

この日も衛星波のNHK-BSが同時中継していたから、2桁を割ったのは仕方がないかもしれませんね。
ちなみに、ホークスの地元・北部九州地区では平均28.7%。

第4戦・25日(水):フジテレビ
平均 9.0%
最高 13.8%(21:55=ソフトバンク優勝の瞬間)

この日もNHK-BSの同時中継があり、同日同時間帯の地上波番組の中では3位。
日本シリーズを上回った番組と視聴率は以下の通りです。

日本テレビ
『日テレ系音楽の祭典ベストアーティスト!2020』14.3%(19:00〜22:54)

テレビ朝日
『くりぃむクイズミラクル9 2時間SP』11.1%(19:00〜20:54)
『相棒』12.3%(21:00〜21:54)
『報道ステーション』12.2%(22:00〜23:15)

しかし、当然のことながら、北部九州地区ではこれが完全に逆転。
日本シリーズ第4戦は以下のように、ダントツのトップとなっている。

平均 27.8%
最高 38.2%(21:55=ソフトバンク優勝の瞬間)

今朝のスポーツ紙やネットの記事に散々書かれていたように、今年のシリーズの第4戦はある意味、巨人が球史に様々な記録を残した試合だった。
球史初の2年連続同一チーム4連敗、球史・球団史ワーストタイの通算9連敗、歴代ワーストタイの4試合4得点、などなど。

これが巨人ではなく、ソフトバンクが逆の立場に置かれたら、地元・北部九州地区のテレビ視聴率はどうなっていただろう。
地元ファンの関心の高さ、熱量の多さからして、優勝したきのうほど高くはなくとも、最初から諦めムードだった関東地区ほど下がることもなかったのではないか。

そこで思い出されるのが、オリックスの宮内オーナーの持論。
この人は常々、ローカル色がなければスポーツビジネスは成り立たない、と強調していた。

「(プロ野球界は平成年間に)フランチャイズが確立してきましたよね。
全部、ローカル球団になって、いまだにローカルじゃないと思っているのは巨人だけ。

スポーツビジネスにはローカル色がないといけない。
企業の広告宣伝費に使うなんて最も効率の悪い使い方なんです」
(共同通信社運動部編『平成プロ野球史 名勝負、事件、分岐点-記憶と記録でつづる30年-』より)

巨人はこれからチームを強くしなければならない。
それと同時に、読売グループもまた、巨人人気がいつまでも全国区であるなどとは思わず、東京のファンにどう根付かせていくかを考えていく必要がある、と個人的には思います。

スポーツライター。 1986年、日刊現代に入社。88年から運動部記者を務める。2002年に単行本デビュー作『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(講談社)を上梓。06年に独立。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。東スポ毎週火曜『赤ペン!!』連載中。 東京運動記者クラブ会員。日本文藝家協会会員。
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