巨人ベンチで飲んだ水の味

記者席から見た臨港パーク花火大会の花火

TBSラジオ『森本毅郎スタンバイ!日本全国8時です』のスタジオ生出演を終えて帰宅したあと、ウトウトしながら考えました。
きょうは球場へ行こうかなー、それともテレビ観戦で済ませようかなー、と。

ハマスタではDeNA−巨人戦が行われていて、巨人の予告先発投手は菅野。
彼が首尾よく勝ったら、甥っ子が伯父さんの原監督に通算1001勝目をプレゼントすることになる。

一方、2位のDeNAサイドから見たら、その菅野を打ち崩して勝てば、ゲーム差2.5となって、いよいよセ・リーグの優勝争いが面白くなる。
こういう試合はやはり、現場に足を運んで取材するしかない。

…んだけど、京浜東北線に乗ってハマスタに向かっている車中、激しい睡魔と頭痛に襲われてクラクラ。
一瞬、「56歳フリーライター、電車で昏倒、また熱中症か」という見出しが頭に浮かんだ。

ハマスタの一塁側ベンチでDeNAを取材したあと、巨人の三塁側ベンチへ回って扇風機の下にへたり込む。
そのまま、今年六十ウン歳になった某社の先輩記者とだべっていたら、吉村打撃総合コーチがウォータークーラーからペットボトルを投げて寄越した。

吉村コーチ「はい、冷たいものでもどうぞ」

先輩記者「いや、これはもらえないよ」

私「いいじゃないですか、飲みましょうよ」

先輩「ダメだよ、返すんだよ」

高見一軍マネージャー「いやいや、飲んでくださいよ」

(しばらくして)先輩「そうかー」(と言ってからキャップをパチッとやってグビグビ)

私「あっ、オレよりいっぱい飲んでる」

先輩「開けたら同じだろっ!」

この仕事をしていて、ああ、長いことやっていてよかったなあ、と思うのは、実はこういうときなんですよね。
トシを取ると、こんなほんのちょっとした昔馴染みの厚意が身に染みる。

ただ、これはぼくではなく、あくまでも隣にいた先輩Hさんのおかげ。
人間、いくつになっても、人徳のある先輩の隣にいると、こういうイイことがあるんです。

この水は美味かった。
これで菅野が勝ってくれれば、もっとよかったんだけどなー。

帰宅後には、カープの大瀬良が勝ったことを確認。
私がナンバーにインタビュー記事を寄稿して以来、初めての完投&完封でした。

ああ、よかった、よかった。
…と思ったら、また頭がクラクラしてきた。

スポーツライター。 1986年、日刊現代に入社。88年から運動部記者を務める。2002年に単行本デビュー作『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(講談社)を上梓。06年に独立。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。東スポ毎週火曜『赤ペン!!』連載中。 東京運動記者クラブ会員。日本文藝家協会会員。
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