『アンブレイカブル 』(WOWOW)

(Unbreakable/2000年 日本公開2001年 アメリカ=ブエナ・ビスタ・ピクチャーズ・デストリビューション 106分)

本作がWOWOWの〈M・ナイト・シャマラン特集〉で放送されたのは、テレビ初放送の『スプリット』(2017年)、今年劇場公開された『ミスター・ガラス』(2019年)の前日譚に当たるため。
つまり〝シリーズ第1作〟ということになるのだが、第2作が製作されるまで17年もかかっているというのが珍しい。

シャマランは本当に最初からシリーズ化を意識していたのか。
ひょっとしたら、だんだんネタ詰まりになってきたので、マーベルやDCみたいな〝シリーズ&キャラクターグッズ商法〟に乗り出そうとしてるんじゃないかしらん。

ブルース・ウィリス演じる主人公デヴィッド・ダンが列車の脱線事故に遭い、乗客113人が死亡した中、ひとりだけかすり傷負わずに生き残る、という導入部はシャマラン一流の演出が冴えており、大いに期待させる。
そのダンに向かって、「あんたはアメコミの世界から抜け出してきたような男だ」と指摘するのが、今年シリーズ最新作の主役となったイライジャ・プライス(=ガラス、サミュエル・L・ジャクソン)。

いまにしてみると、ダンとガラスのキャラクター設定は、マーベルやDCのようなアメコミの実写映画版ブームを予見していたように見えなくもないけどね。
しかし、ダンが超能力を発揮して次々に悪人をやっつけ、か弱き市民を救うクライマックスは、意外にモタモタしていてカタルシスを感じさせなかった。

最後の最後にガラスの秘めた悪行を暴いたダンが…という幕切れはシャマランならではのエンディング。
ただ、個人的には、映画館へ『ミスター・ガラス』を観に行きたいとまでは思わなかったなー。

オススメ度C。

ブルーレイ&DVDレンタルお勧め度2019リスト
※A=ぜひ!(^o^) B=よかったら(^^; C=ヒマなら(-_-) D=やめとけ(>_<)

16『アフター・アース』(2013年/米)C
15『ハプニング』(2008年/米)B
14『麒麟の翼〜劇場版・新参者』(2912年/東宝)C
13『暁の用心棒』(1967年/伊)C
12 『ホテル』(1977年/伊、西独)C
11『ブラックブック』(2006年/蘭)A
10『スペース・ロック』(2018年/塞爾維亜、米)C
9『ブラックパンサー』(2018年/米)A
8『ジャスティス・リーグ』(2017年/米)C
7『ザ・リング2[完全版]』(2005年/米)C
6『祈りの幕が下りる時』(2018年/東宝)A
5『ちはやふる 結び』(2018年/東宝)B
4『真田幸村の謀略』(1979年/東映)C
3『柳生一族の陰謀』(1978年/東映)A
2『集団奉行所破り』(1964年/東映)B
1『大殺陣』(1964年/東映京都)C



スポーツライター。 1986年、日刊現代に入社。88年から運動部記者を務める。2002年に単行本デビュー作『バントの神様 川相昌弘と巨人軍の物語』(講談社)を上梓。06年に独立。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。東スポ毎週火曜『赤ペン!!』連載中。 東京運動記者クラブ会員。日本文藝家協会会員。
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