『スラップ・ショット』(NHK-BS)

Slap Shot

 中学2年生だった劇場初公開当時、広島リッツへ見に行った作品で、41年ぶりの再見。
 当時は子供だったからわからなかったチーム内の人間関係の機微、舞台となったプロアイスホッケーチームの置かれた経済的窮地などが、大人になって見るとよくわかる。

 ポール・ニューマンが選手兼任コーチ、ストロザー・マーチンがGMを務めるチャールズタウン・チーフスはNHLではなく、ローカルなマイナーリーグの万年最下位チーム(これも再見して初めてわかった)。
 現在の親会社からフロリダ在住の高齢者グループへの売却話が持ち上がっており、これを成立させるためにはもっと成績をあげ、観客を増やさなければならない。

 マーチンは人気のテコ入れ策として選手たちをファッション・ショーに駆り出すが、これに不満を抱いた選手がステージでイチモツをさらして大失敗。
 何とか買収交渉を成立させたいニューマンは、不倫関係にあった他チームGKの妻メリンダ・ディロンと寝ていたとき、彼女から女性の恋人ともつきあっていたことを打ち明けられる。

 いざそのチームとの試合になると、ニューマンはくだんのGKに向かって「おまえの女房はプッシーが好きだ!」「ずっと男役をやってるレズビアンだ!」と罵倒、GKを激怒させてたちまち大乱闘に発展してしまう。
 この乱闘騒ぎが観客に大ウケし、試合も連戦連勝、地元だけでなく遠征先へ貸切バスで応援に駆けつける追っかけ女性ファンのグループまで登場。

 こうしてチーフスはリーグの首位を争うまでになるものの、最も将来を嘱望されている中心選手マイケル・オントキーンは、乱闘で人気を取るのは邪道だと反発。
 一方、ニューマンはチーフスの女性オーナー、キャスリーン・ウォーカーと接触し、彼女が税金対策のためにチームを解散する方針で、フロリダに売却する意思のないことを知って唖然とする。

 フランチャイズのチャールズタウンはマサチューセッツ州ボストンの北東部にあり、19世紀までは独立した市だったが、のちにボストンへ吸収合併された。
 映画を見る限り、いささかうらぶれた工場の町で、ボストン中心部とは随分雰囲気が違うな、と思ったら、実際はペンシルバニア州ジョンズタウンでロケ撮影が行われたのだそうだ。

 マイナーリーグの弱小チームを存続させるべく、暴力でも汚い手でも何でも使って悪戦苦闘する男たちのキャラクターはいま見ても共感を呼ぶ。
 とりわけ、実際のプロホッケー選手の兄弟ふたりを起用したハンソン3兄弟が面白い。

 笑わせどころも人間ドラマもしっかり描き込んでいる監督は当時ベテランだったジョージ・ロイ・ヒル。
 てっきり男性かと思い込んでいた脚本家はナンシー・ダウドという女性で、ハル・アシュビー監督の『帰郷』(1978年)や本作の続編も手がけているという。

 オススメ度B。

(1977年 アメリカ=ユニバーサル・ピクチャーズ 123分)

ブルーレイ&DVDレンタルお勧め度2018リスト
※A=ぜひ!(^o^) B=よかったら(^^; C=ヒマなら(-_-) D=やめとけ(>_<)

99『奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール』(2017年/東宝)C
98『女囚さそり 701号怨み節』(1973年/東映)B
97『女囚さそり けもの部屋』(1973年/東映)B
96『女囚さそり 第41雑居房』(1972年/東映)B
95『女囚701号 さそり』(1972年/東映)A
94『風来坊探偵 赤い谷の惨劇』(1961年/東映)C
93『三度目の殺人』(2017年/東宝)C
92『スーパー・チューズデー ~正義を売った日~』(2011年/米)B
91『エイリアン:コヴェナント』(2017年/米)B
90『プロメテウス』(2012年/米)B
89『アンドロメダ… 』(1971年/米)A
88『亡霊怪猫屋敷』(1958年/新東宝)B
87『怪談かさねが渕 』(1957年/新東宝)B
86『一寸法師』(1955年/新東宝)C
85『黒蜥蜴』(1962年/大映)B
84『江戸川乱歩猟奇館 屋根裏の散歩者』(1976年/日活)D
83『狼やくざ 葬いは俺が出す』(1972年/東映)B
82『博徒七人』(1966年/東映)A
81『泥棒成金』(1955年/米)A
80『スペース カウボーイ』(2000年/米)C
79『ソイレント・グリーン』(1973年/米)B
78『狼は天使の匂い』(1972年/仏)B
77『さらば友よ』(1968年/仏、伊)B
76『傷だらけの栄光』(1956年/米)A
75『ハンズ・オブ・ストーン』(2016年/米、巴)B
74『ダンケルク』(2017年/英、米、仏、蘭)B
73『墨攻』(2006年/中、日、香、韓) A
72『関ヶ原』(2017年/東宝)
71『後妻業の女』(2016年/東宝)B
70『ショートウェーブ』(2016年/米)D
69『Uターン』(1997年/米)B
68『ミラーズ・クロッシング』(1990年/米)C
67『シザーハンズ』(1990年/米)A
66『グーニーズ』(1985年/米)B
65『ワンダーウーマン』(2017年/米)B
64『ハクソー・リッジ』(2016年/米)A
63『リリーのすべて』(2016年/米)A
62『永い言い訳』(2016年/アスミック・エース)A
61『強盗放火殺人囚』(1975年/東映)C
60『暴動島根刑務所』(1975年/東映)B
59『脱獄広島殺人囚』(1974年/東映)A
58『893愚連隊』(1966年/東映)B
57『妖術武芸帳』(1969年/TBS、東映)B
56『猿の惑星』(1968年/米)A
55『アンドロメダ・ストレイン』(2008年/米)C
54『ヘイル、シーザー!』(2016年/米)B
53『パトリオット・デイ』(2016年/米)A
52『北陸代理戦争』(1977年/東映)A
51『博奕打ち外伝』(1972年/東映)B
50『玄海遊侠伝 破れかぶれ』(1970年/大映)B
49『暴力金脈』(1975年/東映)B
48『資金源強奪』(1975年/東映)B
47『ドライヴ』(2011年/米)C
46『バーニング・オーシャン』(2016年/米)A
45『追憶の森』(2015年/米)B
44『22年目の告白 -私が殺人犯です-』(2017年/ワーナー・ブラザース)B
43『パットン大戦車軍団』(1970年/米)B
42『レッズ』(1981年/米)B
41『ニュートン・ナイト 自由の旗をかかげた男』(2016年/米)B
40『エクス・マキナ』(2015年/米)B
39『オール・アバウト・マイ・マザー』(1999年/西)B
38『ムーンライト』(2016年/米)B
37『アメリカン・バーニング』(2017年/米)B
36『セル』(2017年/米)C
35『トンネル 闇に鎖された男』(2017年/韓)B
34『弁護人』(2013年/韓国)A
33『湯を沸かすほどの熱い愛』(2016年/クロックワークス)A
32『チア☆ダン~女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話~』(2017年/東宝)B
31『南極料理人』(2009年/東京テアトル)B
30『沈黙 -サイレンス-』(2016年/米)B
29『メッセージ』(2016年/米)B
28『LOGAN/ローガン』(2017年/米)C
27『チャック~“ロッキー”になった男~』(2017年/アメリカ)B
26『ヒッチコック/トリュフォー』(2015年/米、仏)B
25『沖縄やくざ戦争』(1976年/東映)B
24『恐喝こそわが人生』(1968年/松竹)B
23『われに撃つ用意あり』(1990年/松竹)C
22『T2 トレインスポッティング』(2017年/英)A
21『ロスト・エモーション』(2016年/米)C
20『激流』(1994年/米)C
19『チザム』(1970年/米)B
18『駅馬車』(1939年/米)A
17『明日に処刑を…』(1972年/米)A
16『グラン・ブルー[オリジナル・バージョン]』(1988年/仏、伊)B
15『エルストリー1976- 新たなる希望が生まれた街 -』(2015年/英)D
14『I AM YOUR FATHER/アイ・アム・ユア・ファーザー』(2015年/西)B
13『サム・ペキンパー 情熱と美学』(2005年/独)B
12『ビリー・ザ・キッド 21才の生涯』(1973年/米)B
11『わらの犬』(1971年/米)A
10『O嬢の物語』(1975年/仏、加、独)C
9『ネオン・デーモン』(2016年/仏、丁、米)D
8『団地』(2016年/キノフィルムズ)B
7『スティーブ・ジョブズ』(2015年/米)B
6『スノーデン』(2016年/米)A
5『キングコング:髑髏島の巨神』(2017年/米)B
4『ドクター・ストレンジ』(2016年/米)B
3『残酷ドラゴン 血斗竜門の宿』(1967年/台、香)B
2『新宿インシデント』(2009年/香、日)B
1『日の名残り』(1993年/英、米)A


スポーツライター。 最新刊は構成を担当した達川光男氏の著書『広島力』(講談社)。毎週金曜朝8時、TBSラジオ『森本毅郎スタンバイ!日本全国8時です』出演中。『失われた甲子園』(講談社)新潮ドキュメント賞ノミネート。東スポ毎週火曜『赤ペン!!』、WEDGE Infinity『赤坂英一の野球丸』連載中。 東京運動記者クラブ会員。日本文藝家協会会員。
Scroll to top